初めてのスケートパーク|子供と行く前に保護者が知っておきたい準備とマナー
スケートボードを買った。
ヘルメットやプロテクターも用意した。
次はいよいよ、子供と一緒にスケートパークへ。
ところが実際にパークへ着いて中を見てみると、上手な人たちがすごいスピードで滑っていて、子供も親も圧倒されてしまうことがあります。
「初心者が入っても大丈夫なのかな?」
「どこで練習すればいいんだろう?」
「邪魔になったらどうしよう……」
そう思って、駐車場まで来たのに、なかなか車から降りられない親子も珍しくありません。
スケートパークは、初めての人にとって少し入りづらく見える場所です。
受付方法が分からなかったり、パークのルールが書かれていなかったり、滑っている人が全員上手に見えたりします。
しかし、最初に覚えておくことは、それほど多くありません。
今回は30年以上スケートボードを続け、現在は茨城県土浦市でGrafferというスケートパークを運営している僕の経験から、子供が初めてスケートパークへ行くときの準備、持ち物、マナー、当日の過ごし方について書いてみます。
初回の目標は「技を覚えること」ではない
最初に一番大切なことを伝えます。
初めてスケートパークへ行く日の目標は、技を覚えることでも、長時間練習することでもありません。
子供が「またここに来たい」と思って帰ること。
これができれば、初めてのスケートパークは成功です。
パークへ行ったのに、板へ乗れなくても構いません。
15分で帰ってもいいし、ほかの子が滑っているのを見ているだけでもいいと思います。
せっかく来たのだから、できるまで練習させたい。
親としては、そう思うかもしれません。
しかし、初日に無理をさせて「スケートパークは怖い場所」「スケボーは疲れるもの」という印象を持たせてしまうより、少し物足りないくらいで帰ったほうが次につながります。
まずは、その場所に慣れる。
パークの雰囲気を知る。
それだけで十分です。
なぜ初めてのスケートパークは怖く見えるのか
滑っている人が全員上手に見える
パークの外から見ると、滑っている人が全員ものすごく上手に見えます。
しかし、スケーターは人前では自分のできる技を中心に滑るので、自然と上手な場面ばかりが見えます。
実際には、その人たちもできない技があり、何週間、何カ月と同じ技を練習しています。
初めてパークを見た印象だけで、
「うちの子にはまだ早い」
「もう少し上手くなってから来よう」
と判断しなくても大丈夫です。
そもそも、練習するためにあるのがスケートパークです。
上手くなってから行く場所ではありません。
暗黙の流れが分かりづらい
スケートパークには、ほかのスポーツのように、細かいルールが大きく掲示されていないことがあります。
しかし、実際には滑る順番や進行方向、待つ場所など、そのパークならではの流れがあります。
初めての人には、それが見えません。
だからこそ、着いてすぐに滑り始めるのではなく、最初に少し離れた場所から全体を見ることが大切です。
分からないことは、受付スタッフや周りのスケーターに聞いて構いません。
「今日が初めてなんですが、どこで練習すればいいですか?」
この一言で十分です。
行く時間帯によって雰囲気がまったく違う
同じスケートパークでも、時間帯によって混雑状況や雰囲気が大きく変わります。
土日のお昼過ぎなどは人が集まりやすく、上級者がスピードを出して滑っていることもあります。
初心者の子供は、入るタイミングが分からず、端で立ったままになってしまうかもしれません。
初めて行くなら、できるだけ空いている時間を選びましょう。
おすすめは、平日の午前中か、休日のオープン直後です。
事前にパークへ連絡して、
「初心者の子供が初めて行くのですが、何時ごろが空いていますか?」
と確認するのもおすすめです。
パークによっては、初心者向けの時間や体験スクールが設けられていることもあります。
初めてのスケートパークへ持って行くもの
板とヘルメットだけで行き、現地で困ってしまうこともあります。
子供と一緒に行く場合は、次のものを用意しておくと安心です。
- 子供の体格に合ったスケートボード
- ヘルメット
- 膝と肘のプロテクター
- 手首を守るリストガード
- 動きやすい長ズボン
- スニーカーまたはスケートシューズ
- 飲み物
- タオル
- 絆創膏などの簡単な救急用品
- 汗をかいたときの着替え
特に忘れないでほしいのが、水分です。
スケートボードは、見た目以上に体力を使います。
夏場の屋外パークはもちろん、室内パークでもかなり汗をかきます。
「少し多いかな」と思うくらい用意して、こまめに休憩を取ってください。
また、夏でも初回は長ズボンがおすすめです。
転んだときの擦り傷を、ある程度防ぐことができます。
デッキは子供の体格に合ったものを選ぶ
スケートボードのような形をしていても、すべての板が同じように乗れるわけではありません。
ウィールが回りづらいものや、曲がりにくいもの、子供に対して大きく重すぎるものもあります。
扱いづらい板を使っていると、子供は思ったように進めず、
「自分が下手だから乗れない」
と思ってしまうことがあります。
しかし、実際には本人ではなく、道具が合っていないだけかもしれません。
デッキを選ぶときは、身長や年齢だけではなく、靴のサイズ、体格、経験、現在の乗り方なども含めて考えることが大切です。
一般的には、細く短いデッキは軽くて動かしやすく、幅のあるデッキは足を置く面積が広いため、安定感があります。
ただし、単純に「子供だから一番細いサイズ」というわけではありません。
LESQUEでは、身長や靴のサイズ、スケートボード歴などから、適切なデッキサイズを確認できるページを用意しています。
サイズが分からない場合は、購入前にスケートショップやスクールへ相談してください。
体格に合った道具を使うことは、上達だけでなく、安全にもつながります。
行く前に確認しておきたいこと
スケートパークによって、利用方法やルールは異なります。
出発する前に、公式サイトやSNS、電話などで次のことを確認しておきましょう。
- 営業時間と休館日
- 利用料金
- 予約が必要か
- 受付方法
- ヘルメット着用のルール
- 年齢制限
- 保護者の付き添いが必要か
- 初心者向けスペースの有無
- スケートボードや防具のレンタル
- 見学スペース
- 雨天時の営業
- 初心者向けスクールの開催日
屋外パークの場合、雨が止んでいても路面が濡れていて利用できないことがあります。
当日の天候が微妙な場合は、向かう前に確認したほうが安心です。
最低限覚えておきたい4つのマナー
初めての段階で、細かなルールをすべて覚える必要はありません。
まずは、次の4つを子供に伝えてください。
1.滑る順番を守る
パークでは、セクションごとになんとなく順番ができています。
誰かが滑り始めたら、その人が止まるまで待つ。
一人がパーク全体を使い終わったら、次の人が滑る。
最初は順番が分かりにくいと思うので、しばらく周りを観察してから入るようにしましょう。
迷ったときは、無理に飛び出さず、周りの人と目を合わせて確認します。
2.コースの真ん中で立ち止まらない
初心者が特に気をつけたいのが、滑る場所の真ん中で止まってしまうことです。
自分が止まっていても、ほかのスケーターが別の方向から近づいてくることがあります。
休憩するときや次の動きを考えるときは、必ずパークの端へ移動します。
セクションの下や着地点も危険なので、立ち止まらないようにしましょう。
3.転がった板を放置しない
転ぶと、足から離れた板がパーク内を転がっていくことがあります。
そのままにすると、ほかの人が板を踏んで転倒する危険があります。
板が離れたら、周囲を確認しながら、できるだけ早く回収します。
ただし、滑っている人の前へ急に飛び出さないよう注意してください。
4.挨拶をする
入るときに「こんにちは」「お願いします」。
帰るときに「ありがとうございました」。
難しいことではありませんが、挨拶があるだけで周りの人も声をかけやすくなります。
スケートボードは自由な文化ですが、同じ場所をみんなで共有していることに変わりはありません。
上手い、下手に関係なく、挨拶と周囲への配慮は大切です。
最初の30分はこう過ごす
初めてのパークへ着いたら、すぐに子供をコースへ入れなくても大丈夫です。
次のような流れで、少しずつ慣れていきましょう。
最初の5分は親子でパークを見る
まずはコースの外から、全体を一緒に見ます。
どこから滑り始めているのか。
どこで順番を待っているのか。
どの場所が空いているのか。
どこが危なそうなのか。
親子で確認するだけでも、子供の緊張はかなり下がります。
受付の人がいる場合は、初心者が使いやすい場所を聞いてみてください。
次の10分は平らな場所で慣れる
いきなりバンクやジャンプ台へ行く必要はありません。
まずはパークの端にある平らな場所で、板の上に立つ、板から安全に降りる、ゆっくりプッシュするといった基本を確認します。
ほかの人が滑っているラインには入らず、板と路面の感覚に慣れる時間にしてください。
空いていればパークの端を回ってみる
子供が落ち着いてきたら、ほかの人が滑っていないタイミングを選び、パークの端をゆっくり進んでみます。
無理にセクションへ入らなくても構いません。
自分でプッシュして進み、安全に止まって戻ってこられれば、初日は十分です。
「もう少しやりたい」で終わる
初日は、疲れ切るまで滑らせないことが大切です。
疲れると足に力が入らなくなり、集中力や判断力も落ちます。
転び方も雑になり、最後の一回でケガをすることもあります。
子供が「もう少しやりたい」と言っているくらいで切り上げると、その気持ちを次回へつなげられます。
子供が怖がって入れなくても大丈夫
パークまで来たのに、子供が中へ入ろうとしないこともあります。
そんなときに、
「せっかく来たんだから滑りなさい」
「みんなやっているから大丈夫」
と無理に背中を押す必要はありません。
まずは一緒に見学してみましょう。
ほかの人が滑る姿を見ることも、スケートボードの練習です。
どのように板へ乗り、どの場所からスタートし、どこで止まっているのか。
見ているうちに、少しずつイメージができてきます。
Grafferでも、最初は入口からパークを見ているだけだった子が、次に来たときには板を持って中へ入り、その次には少しずつプッシュを始めるということがあります。
子供によって、慣れるまでの時間は違います。
その日に滑らなかったからといって、スケートボードに向いていないわけではありません。
怖さよりも「やってみたい」という気持ちが少し上回るまで、待ってあげることも大切です。
親はどこで見守ればいい?
保護者は、基本的にコースの中へ入らないようにしてください。
スケートボードに乗っていない大人がコース内に立っていると、滑っている人の進路を塞いでしまいます。
子供を助けようとして急にコースへ入ることも、衝突につながるので危険です。
見学スペースがあればそこから、ない場合はコースの外や指定された場所から見守りましょう。
もう一つ気をつけたいのが、滑っている最中の声かけです。
子供が転びそうになると、思わず「危ない!」と叫びたくなると思います。
しかし、声を聞いた子供が親のほうを振り向き、かえってバランスを崩すことがあります。
すぐに止めなければならない危険な状況は別ですが、技や動きに関する話は、子供が止まってから伝えるようにしてください。
初日にドロップインをやる必要はない
パークへ行くと、ランプの上から滑り降りるドロップインに挑戦している子供を見かけると思います。
それを見て、
「うちの子もやらせたほうがいいのかな?」
と思うかもしれません。
しかし、初日にドロップインをする必要はありません。
まず覚えたいのは、平らな場所で安全に立つ、進む、曲がる、止まる、板から降りることです。
基本ができていない状態で高い場所から滑り降りると、恐怖心だけが残ってしまうことがあります。
スケートボードは、難しい技へ早く進めばいいわけではありません。
その子の体格や経験に合った順番で練習することが、安全に長く続けるための近道です。
初めてだからこそ、スクールを利用するのもおすすめ
親がスケートボードをしたことがない場合、
「最初に何を教えればいいのか分からない」
「どうやって止まればいいのか説明できない」
「パーク内のどこが危険なのか判断できない」
ということもあると思います。
そんなときは、最初だけでも体験スクールを利用するのがおすすめです。
茨城県土浦市のGrafferでは、初心者のお子さんに、板の上での立ち方、安全な降り方、プッシュ、止まり方、パーク内でのルールなど、最初に必要なことから教えています。
初めての方やスクールへの参加を検討している方は、こちらをご覧ください。
最初から正しい動きと安全な使い方を覚えておくと、子供も保護者も安心して練習を続けられます。
また、住んでいる地域によっては、近くにスケートスクールがなかったり、定期的にGrafferまで通えなかったりする方もいると思います。
そのような方に向けて、Grafferオンラインスケートボードスクールも行っています。
普段の練習映像を送ってもらい、その子のレベルや動きを確認しながら、次に何を練習すればいいのかをアドバイスします。
親子だけで練習していて進め方が分からない方や、近くに教えてくれる人がいない方は、ぜひ活用してみてください。
まとめ:初日は「また来たい」で終われば成功
初めてのスケートパークで大切なことをまとめます。
- 初日の目標は、技を覚えることではなく「また来たい」と思って帰ること
- できれば平日の午前中か、休日のオープン直後に行く
- 利用方法やヘルメットのルールを事前に確認する
- 板、防具、水分、長ズボン、タオル、絆創膏、着替えを用意する
- 子供の体格に合ったスケートボードを使う
- 誰かが滑っているときは待つ
- コースや着地点の真ん中で止まらない
- 転がった板を放置しない
- 入るときと帰るときに挨拶する
- 最初は平らな場所で立つ、進む、止まる練習をする
- 子供が怖がったら、見学だけで帰ってもいい
- 保護者はコースへ入らず、滑っている最中に声をかけない
- 疲れる前の「もう少しやりたい」で終わる
スケートパークは、上手な人だけの場所ではありません。
これからスケートボードを始める人や、まだ板にうまく乗れない子供も、練習するために利用する場所です。
最初は誰でも緊張します。
順番が分からなくても、上手く滑れなくても大丈夫です。
分からないことはスタッフや周りの経験者に聞きながら、少しずつパークの雰囲気に慣れていきましょう。
初日にできた技の数よりも、子供が笑顔で帰れたかどうか。
そして、帰り道に「またスケボーしに行きたい」と言ってくれたかどうか。
それが、初めてのスケートパークデビューで一番大切なことだと思います。
