宮崎駿も衝撃を受けた漫画『アルザック』──説明しないからこそ広がる世界
スケートボードも、アートも、映画も。
本当に心を動かされる作品には、「もっと知りたい」と思わせる余白があります。
先日、宮崎駿監督にも大きな影響を与えたと言われるフランスの漫画家・メビウス(ジャン・ジロー)の代表作『アルザック』について知り、その世界観に強く惹き込まれました。
正直に言うと、最初は「何がそんなにすごいんだろう?」と思いました。
セリフはほとんどありません。
説明文もありません。
主人公が誰なのか、この世界がどこなのか、何のために飛んでいるのかも分からない。
それでもページをめくる手が止まりませんでした。
世界を説明しないという強さ
多くの作品は、読者に分かりやすく説明してくれます。
ここはどこなのか。
誰が敵なのか。
主人公は何を考えているのか。
しかし『アルザック』は、そのほとんどを語りません。
そこにあるのは、果てしなく広がる荒野。
巨大な骨。
奇妙な塔。
不思議な生き物。
そして空を飛ぶ一人の男。
それだけです。
でも、その「それだけ」が不思議なくらい世界を広く感じさせます。
説明されないからこそ、自分の頭の中で世界が勝手に広がっていく。
読者自身が空白を埋めることで、その世界はよりリアルに感じられるのです。
ナウシカにも通じる空気
宮崎駿監督は『風の谷のナウシカ』を制作する際に、メビウスから影響を受けたと語っています。
もちろん、ナウシカがアルザックの真似という話ではありません。
影響を受けたのはキャラクターやデザインだけではなく、「世界をどう見せるか」という考え方だったのではないでしょうか。
説明しすぎない。
風景だけで歴史を感じさせる。
画面の外側にも世界が続いていると思わせる。
ナウシカを見たときに感じる、あの圧倒的な奥行きや空気感。
その源流のひとつが、この作品にはあるように感じました。
創作において大切なのは「余白」
僕自身、ブランドを作ったり、映像を作ったり、写真を撮ったりする中で思うことがあります。
全部を説明するよりも、少しだけ余白を残した方が、人は想像してくれる。
「このブランドにはどんな想いがあるんだろう。」
「この写真の続きを見てみたい。」
「この場所にはどんな物語があるんだろう。」
そう思わせる作品には、不思議な魅力があります。
『アルザック』は、その余白の使い方が圧倒的でした。
だからこそ約50年前に描かれた作品でありながら、今なお世界中のクリエイターに影響を与え続けているのだと思います。
一度は体験してほしい作品
ストーリーを楽しむ漫画を期待すると、少し戸惑うかもしれません。
「意味が分からない。」
そう感じる人も多いと思います。
でも、それでいい作品なのだと思います。
『アルザック』は物語を理解する作品ではなく、世界を体験する作品です。
ページをめくるたびに、説明されない景色が広がり、自分だけの解釈が生まれていく。
その感覚は、今読んでもまったく色褪せていません。
もし創作をしている人や、デザイン、映像、写真、スケートボードの世界観づくりに興味がある人なら、一度触れてみる価値は十分にある作品だと思います。
「説明しない勇気」が、作品をここまで豊かにする。
そんなことを改めて教えてくれた一冊でした。
今回僕が興味を持つきっかけになったのは、こちらのYouTube動画です。
宮崎駿監督と『アルザック』の関係や、作品の魅力をとても分かりやすく解説しているので、興味がある方はぜひご覧ください。
▼動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=VgJQoyO8rKc
漫画を読む前でも楽しめますし、読んだ後に見ると「なるほど、そういうことだったのか」と新しい発見もあると思います。
創作をしている方、世界観づくりに興味がある方には、きっと何か新しいヒントを与えてくれる一本です。ぜひチェックしてみてください。
