5,000円の酒と、3,800円のTシャツ。そして、次の世代へ。
最近、たまに一人で酒を飲みに行く。
もともと一人で飲むのが結構好きだ。
事務所で一人で仕事をするのも好きなんだけど、ずっとやっていると行き詰まる時がある。
そんな時、ふらっと飲み屋に入って、一人で酒を飲みながら仕事をしたり、考え事をしたりする。
ビールを2杯くらい飲んで、つまみを頼んで、飯を食う。
3,000円。
もう少し飲んだら5,000円。
うまいものを食って、酒を飲んで、気持ちよくなって。
それはそれで楽しいし、別にもったいないとも思わない。
大人になった今の俺の楽しみの一つだと思う。
でもこの前、ふと思った。
「そういえば昔、3,800円のTシャツが買えなかったな」
って。
3,800円のTシャツが、本当に欲しかった
中学生、高校生の頃。
スケートブランドのTシャツが欲しくて仕方なかった。
たしか3,800円くらいだったと思う。
でも、その3,800円がなかなか出せなかった。
スケボーのデッキはボロボロ。
スケートシューズもボロボロ。
服だってそんなに持っていない。
友達のお下がりをもらったりしながら、とにかく毎日スケボーしていた。
金はなかった。
でもスケボーがめちゃくちゃ好きだった。
当時は、
「プロスケーターになりたい」
と漠然と思っていた。
プロスケーターになったら、どうやってお金を稼ぐのか。
どんな生活になるのか。
そんなことすら、よく分かっていなかった。
高級車に乗りたいとか、大金を稼ぎたいとか、そういう夢でもなかった。
ただ、プロスケーターという存在がカッコよかった。
自分もそこに行きたかった。
だから朝から晩まで滑っていた。
それだけだった。
一晩でなくなる5,000円
それから何十年も経った。
40歳を超えて、もう一捻りしたら50歳。
今は飲み屋で一人5,000円使うことがある。
酒を飲んで、うまいものを食って、いい気分になって帰る。
次の日になったら、その5,000円はもうない。
もちろん、それが悪いわけじゃない。
経験や時間にお金を使うのだって大切だし、俺はこれからも一人で飲みに行くと思う(笑)。
ただ、昔の3,800円のTシャツは違った。
欲しくて欲しくて、やっと買ったTシャツ。
それを何度も着てスケボーしに行った。
友達と遊びに行った。
ボロボロになるまで着た。
たった一枚のTシャツなのに、その中には一年分くらいの思い出が入っていた。
そう考えると、お金って面白い。
同じ5,000円でも、誰が、いつ、何に使うかで、その価値は全然違う。
いつの間にか、自分の立場が変わっていた
俺は今でもスケボーをする。
今でもスケボーは大好きだ。
でも、
「誰にも負けたくない」
「世界で一番うまくなってやる」
という感覚は、30代半ばくらいから少しずつ変わっていった。
特にRESUNCEを始めてからは、自分が前に出るより、裏側に回ることが増えた。
ブランドをやる。
デッキを作る。
ライダーをサポートする。
イベントや大会をやる。
ショップやパークを作る。
スクールをやる。
映像を作る。
昔の俺なら、自分が滑ることばかり考えていた。
でも今は、若いやつらが本気で滑っている姿を見るのが面白い。
そして最近になって、やっと思う。
俺はもう、夢を追いかけているヤングを応援する側なんだな。
今も「3,800円」が遠いヤングがいる
今のヤングの中にも、昔の俺みたいなやつはいると思う。
新しいデッキが欲しいけど買えない。
シューズに穴が開いても履いている。
欲しい服があるけど我慢する。
交通費を節約して遠くまで滑りに行く。
飯代を削ってスケボーに使う。
それでも毎日滑っている。
プロになった先に何があるのかなんて、まだ分からない。
スケボーで食っていけるかどうかも分からない。
ただ、
「もっとうまくなりたい」
「世界に行ってみたい」
その気持ちだけで滑っている。
昔の俺もそうだった。
だから、そういうヤングを応援したい。
そんなことを考えていたら、ZENの挑戦を知った
ちょうどこの記事を書いている時、14歳のスケーター、二宮 善(ZEN)が世界最高峰のアマチュアコンテスト「Tampa AM」に挑戦するため、CAMPFIREでクラウドファンディングをしていることを知った。
14歳で世界に挑戦する。
もちろん結果がどうなるかなんて分からない。
でも、挑戦できる時に挑戦すること自体にものすごく価値があると思う。
ページを見ながら、昔の自分のことを思い出した。
もし高校生の頃の俺に、世界へ挑戦できるチャンスがあったら。
でも飛行機代がない。
遠征費がない。
そんな状況だったらどうしただろう。
たぶん、めちゃくちゃ悔しかったと思う。
そして、そんな時に知らない大人でも、
「行ってこいよ」
って少し力を貸してくれたら、ものすごく嬉しかったと思う。
だから今回、俺もZENの挑戦を支援することにした。
5,000円の使い方
飲み屋で5,000円使う。
それもいい。
うまい酒を飲んで、楽しい時間を過ごす。
俺はこれからもやると思う。
でも、その5,000円で一人のヤングの挑戦を少しだけ前に進めることもできる。
別に大きな金額じゃなくていい。
一人で世界に連れていけるわけでもない。
ただ、
「頑張ってこい」
という意思を、お金という形にして渡すことはできる。
そう考えたら、今回の俺にとっては酒を何杯か飲むより、こっちに使ってみたいと思った。
昔、3,800円のTシャツが買えなかった自分が、
何十年後かに、ヤングの世界挑戦を少しだけ支援している。
なんだか不思議だ。
夢を追う番が終わったわけじゃない
年齢を重ねると、役割が変わっていく。
昔は自分が夢を追う側だった。
誰よりもうまくなりたかった。
プロになりたかった。
今はブランドをやったり、会社をやったり、パークやスクールをやったりしながら、次の世代を見ることが増えた。
だからといって、夢を追う番が終わったわけではないと思う。
夢との関わり方が変わっただけなんだと思う。
自分が挑戦する。
仲間と挑戦する。
そしていつか、次に挑戦する人間の背中を押す。
スケートボードって、そうやって繋がっていくものなのかもしれない。
俺だって若い頃、いろんな人に助けてもらった。
デッキをもらったり、服をもらったり、車に乗せてもらったり、泊めてもらったり。
そういう一つ一つがあったから、今までスケートボードを続けてこられた。
だったら今度は、自分が返していく番だ。
全部のヤングを応援することなんてできない。
でも、自分が「こいつ頑張ってほしいな」と思った時くらい、少し背中を押せる大人でいたい。
これからも俺はスケボーをする。
仕事もする。
一人で酒も飲む。
でもたまには飲み代の5,000円を、次の世代に回すのも悪くない。
昔、夢を追いかけていた自分がいるからこそ、今、夢を追いかけているヤングを応援したい。
それが今の俺なりの、スケートボードへの恩返しなのかもしれない。
ZENの挑戦について
14歳のスケーター・二宮 善(ZEN)が、世界最高峰のアマチュアスケートボードコンテスト「Tampa AM」への挑戦に向けてクラウドファンディングを行っています。
俺も今回、少しですが支援します。
興味がある人は、ぜひ本人の挑戦を見てみてください。
CAMPFIRE
「【14歳・京都発】世界最高峰『Tampa AM』へ!スケートボードで夢に挑む」



