スケボーは上手いだけじゃカッコよくない。技術、見た目、バイブス、そして未来の話
最近、スケートボードのレベルは本当に上がっている。
昔なら「そんな技できるの?」と驚かれていたようなテクニカルなトリックを、今は小学生や中学生が普通にメイクする。SNSを開けば、難しい技を次々と決めるスケーターが流れてくる。
純粋な技術だけでいえば、間違いなく昔より上手い人は増えている。
でも同時に、少し厳しい言い方をすると、
「めちゃめちゃ上手いのに、なぜかカッコよく見えない」
そんなスケーターも増えているように感じる。
せっかく難しい技ができるのに、ファッションや滑り方、一緒にいるときの雰囲気で損をしている。これは本当にもったいない。
「上手い」と「カッコいい」は同じではない
難しいトリックができる。
大会で勝てる。
メイク率が高い。
たくさんの技を持っている。
これはすべて、スケーターとして大きな武器だと思う。
ただ、スケートボードは技の難易度だけで評価されるものではない。
というより、スケートボードは本来、きっちり点数を競うためだけのスポーツではなく、もっと自由な「遊び」だと俺は思っている。
どんな場所を滑るのか。
誰と滑るのか。
何をカッコいいと思うのか。
どんな服を着て、どんな音楽を聴き、どんな映像を残すのか。
そうした全部がスケートボードだ。
スピード、高さ、姿勢、着地、流れ、服装、髪型、体の使い方。そして、一緒に滑っている人たちを楽しくさせる雰囲気やバイブス。
その全部が合わさって、その人のカッコよさが生まれる。
上手いだけでは「つまらない人」に見えることもある
ものすごく上手いのに、一緒に滑っていても何となくつまらない。
失敗したら不機嫌になる。
人のスケートを見ない。
自分の技ばかりを気にしている。
ずっと練習のようにきっちり滑っている。
周りが盛り上がっていても、自分の世界に閉じこもっている。
それでは、どれだけ難しい技ができても、「あの人、上手いけど何かつまらないよね」と思われてしまうことがある。
もちろん、真剣に練習するのは大切だし、集中して滑る時間も必要だと思う。
でも、スケートボードは一人で技を完成させるだけの遊びではない。
友達のメイクで自分のことのように喜んだり、しょうもない技で盛り上がったり、誰かに煽られて予定になかったトリックを始めたり、失敗してみんなで笑ったりする。
そんな時間も含めてスケートボードだ。
技術はそれほど高くなくても、その人が来るとセッションが明るくなる人がいる。
よく笑い、人のスケートを見て、いいメイクには声を出し、初心者でも自然に輪の中へ入れてくれる。その人がいるだけで、いつもの場所が少し楽しくなる。
そういう人も、間違いなくカッコいいスケーターだと思う。
「また一緒に滑りたい」と思われることも、スケーターにとって大切なスタイルのひとつだ。
俺自身も、若い頃からカッコよかったわけではない
ここまで書くと、「見た目がいい人だから、そんなことが言えるんじゃないか」と思う人もいるかもしれない。
でも、俺自身も若い頃はダサい時期があった。
自分でも、身長が高くて顔が小さく、手足が長いような恵まれたスタイルではないと思っている。どちらかといえば、ずんぐりむっくりした体型だ。
だからこそ若い頃から、
「どうしたら自分を少しでもカッコよく見せられるか」
ということを、ずっと考えながらスケートしてきた。
自分と体型の違う海外スケーターが似合っている服を、そのまま着ても同じにはならない。身長が高くて手足の長い人がチェックのパンツや真っ赤なパンツを穿けばカッコよく見えても、自分が同じ格好をしたら全然違って見えることがある。
だから、自分にはどんなパンツの太さが合うのか、どんな丈なら足が短く見えないのか、どんな色や髪型なら印象を残せるのか、実際の映像ではどう映るのかを考えてきた。
昔から完璧にできていたわけではない。失敗もしたし、今見たら恥ずかしい格好もたくさんある。
でも、自分をよく見せるために考え続けることだけはやめなかった。
スポンサーからもらった服を、全部着ればいいわけではない
若い頃からスポンサーに服を提供してもらう機会もあった。
もちろん、もらった服を着てブランドへ貢献することは大切だし、スポンサー側からすれば、ライダーが着て写真や映像に出てくれることは嬉しいと思う。
でも、俺はスポンサーからもらった服を何でもそのまま着ればいいとは思っていなかった。
提供された服が自分に本当に似合っているのか。
サイズ感は合っているのか。
自分の滑りや雰囲気に合っているのか。
ほかの服とどう組み合わせればカッコよく見えるのか。
そこまで考えて着ることが、本当の意味でスポンサーへ貢献することだと思う。
似合っていないものを、もらったからという理由だけで着ても、そのブランドまでカッコ悪く見えてしまう可能性がある。
スポンサーの服を着ることと、スポンサーの服に着られることは違う。
ブランドの力だけに頼って、有名なロゴを付けていればカッコいいと思うのではなく、その服をどう自分のものにするかが重要だ。
古着屋へ行って、自分に似合うものを探した
俺はスポンサーから服をもらっていても、自分で古着屋へ行き、自分に似合うものを探して買っていた。
有名なブランドだから買うのではない。
値段が高いからカッコいいとも思わない。
反対に、安いからダメだとも思わない。
安かろうが高かろうが、ブランド名が付いていようがいまいが、自分がカッコいいと思い、自分に似合うものを選ぶ。
そして、自分のお金を払って買う。
この「自分で選ぶ」という行為がすごく重要だと思っている。
スポンサーから届いた服だけを着ていると、自分で服を探し、比べ、試着し、自分に似合うものを判断する力がなかなか育たない。
服を自分で選ぶことは、自分が何をカッコいいと思うのかを知ることでもある。
古着屋や街へ出て、いろいろな服を見る。実際に着てみる。似合わなければ戻す。買ってみて失敗する。映像に映った自分を見て、また考える。
その繰り返しによって、自分のスタイルが少しずつ作られていく。
服を買いに行くことも、スケートの練習だ
若いスケーターは、どうしてもトリックの練習ばかりを優先してしまう。
あと一時間あれば、新しい技を練習したい。
服に使うお金があるなら、デッキやシューズを買いたい。
その気持ちはよく分かる。
でも、本気でカッコいいスケーターになりたいのであれば、街へ出て、自分に似合う服を探し、自分のお金で買って、カッコよく着る練習も必要だと思う。
服を探しに行くことも、トリックを練習するのと同じくらい大切なスケートの練習だ。
鏡の前だけではなく、実際に滑っている姿を撮影して確認する。
パンツの太さや丈は合っているか。
Tシャツが長すぎないか。
靴だけが大きく見えていないか。
動いたときのシルエットはきれいか。
プッシュや着地の姿勢までカッコよく見えるか。
ファッションは、止まっているときだけカッコよければいいわけではない。
スケーターなら、滑っているときにどう見えるかまで考える必要がある。
個性は、派手な服を着ることだけではない
普通の格好では埋もれてしまうなら、髪型や色使い、小物で特徴を作るのもひとつの方法だと思う。
金髪、メッシュ、コンロー、ドレッド、帽子、眼鏡、アクセサリー、特徴的なパンツ。自分に似合うなら、見た瞬間に覚えてもらえる要素になる。
ただし、目立つためだけに何でも派手にすればいいわけではない。
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いつも同じ形のパンツを選ぶ
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使う色を絞る
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帽子や眼鏡を自分の定番にする
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髪型に特徴を持たせる
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古着、スポーツ、パンクなど方向性を統一する
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デッキやシューズまで含めて色を合わせる
こうした小さな積み重ねでも、その人らしいスタイルは作れる。
大切なのは、流行を追い続けることではなく、
「あの格好を見たら、あいつだと分かる」
という自分の記号を作ることだ。
技の選び方にも、その人のスタイルが出る
見た目と同時に、トリックの組み立ても考えてほしい。
テクニカルなトリックを単発で終わらせず、フラットでもできるようにする。ラインの中で自然に流す。回しアウト系を増やし、技と技の間まで意識する。
そうすると、「難しい技をメイクした映像」から、「その人の滑りを見せる映像」に変わっていく。
テクニカルな技ばかりを詰め込むのではなく、スピードのあるシンプルな技を間に入れる。プッシュ、ターン、アプローチ、着地後の抜け方まで大切にする。
音楽でいえば、難しい音をずっと鳴らし続けても、必ずしも気持ちのいい曲にはならない。間や緩急があるからこそ、難しいフレーズが引き立つ。
スケートも同じだ。
シンプル、スピード、パワー、テクニック、流れ、遊び心。
その配分によって、滑りにグルーヴが生まれる。
若い頃から、スケートをやめた後のことも考えていた
俺は若い頃から、目の前のトリックだけではなく、その先のことも考えながら動いていた。
10代、20代でスケートを頑張り、たくさんのトリックを身につけたとしても、見た目や表現する力をまったく磨いていなければ、その後どうするのか。
どれだけ上手くても、スケートをやめた瞬間に何も残らないのではなく、スケーターとして培ったものを次の仕事や人生につなげたいと思っていた。
だから俺は、
カッコいい服を着る。
カッコいいトリックをする。
映像やメディアにできるだけよく露出する。
「あの人、カッコいいな」「ああいう人になりたいな」と思ってもらえる存在を目指す。
そういうことを意識してきた。
ただ目立ちたいとか、有名になりたいということだけではない。
いつかスケートの第一線から離れたり、スポンサーがなくなったりしても、自分で何かを始められるようにするためだ。
将来、自分でブランドを作ったとき、
「あの人がカッコいいから、このブランドも気になる」
と思ってもらえる可能性を、少しでも増やしておきたかった。
ブランドを始めてから急にカッコよく見せようとしても遅い。
その人が何をカッコいいと思い、どんな服を着て、どんな滑りをして、どんな人たちと関わってきたのか。長い時間をかけて積み重ねてきたものが、ブランドの説得力になる。
ブランドは、作る前から始まっている
俺は自分でブランドを始めるずっと前から、そういう考えでスケートしてきた。
自分をどう見せるか。
どうすれば覚えてもらえるか。
どんな場所やメディアに出ればいいか。
どんな人と一緒に動けば未来につながるか。
当時は今のように誰もが簡単に海外とつながれる時代ではなかったけれど、自分なりに考えて行動したことで、国内だけでなく海外からもスポンサーしてもらえるようになった。
今では個人がSNSを通じて世界へ発信することは当たり前になっている。
だからこそ、若いスケーターにはもっと早い段階から考えてほしい。
投稿する映像の技だけではなく、服装、髪型、撮り方、音楽、言葉、普段の振る舞いまで、すべてが自分のイメージを作っている。
将来スケートで飯を食いたい。
プロスケーターになりたい。
自分のブランドを始めたい。
ショップやパークを経営したい。
映像やデザインの仕事をしたい。
そう思っているなら、トリック以外の部分も若いうちから練習しておいた方がいい。
自分自身が、最初のブランドになるからだ。
スポンサーは技だけを見ているわけではない
ブランドがサポートしたいのは、単に難しい技ができる人だけではない。
その人が服やデッキを使ったときにカッコよく見えるか。写真や映像を見た人の記憶に残るか。その人の滑りや生き方に憧れる人がいるか。ブランドの世界観と合っているか。
そして、チームの仲間と一緒に動いたとき、場を明るくできるか。ツアーや撮影、イベントで周りへいい影響を与えられるか。
そういう部分も見られている。
どれだけ上手くても、チームに入れたら雰囲気が悪くなる人より、一緒にいるだけで仲間のテンションを上げ、セッションを楽しくしてくれる人の方が、「一緒にやりたい」と思われることは多い。
スポンサーをつけるということは、物をもらうことだけではない。
そのブランドの仲間になり、そのブランドが持つ空気まで一緒に作っていくことだ。
だからこそ、
「こいつと一緒に滑りたい」
「こいつとツアーへ行きたい」
「こいつがチームにいたら楽しそう」
「こいつが着ると、この服がカッコよく見える」
そう思ってもらえることが重要になる。
車も、速ければ全部カッコいいわけではない
これは車に例えると分かりやすい。
サーキットで速さを追求したスポーツカーもあれば、見た目や乗り心地、品のある佇まいを大切にした高級車もある。山道や悪路を力強く走る四駆もあれば、古くても独特の存在感を持ったクラシックカーもある。
最高速度だけで、車のカッコよさが決まるわけではない。
ボディーの形、色、車高、ホイール、エンジン音、乗っている人、使われ方。それぞれの要素がまとまって、その車にしかない魅力になる。
そして、性能がどれだけ高くても、一緒に乗っていて楽しくない車には、もう一度乗りたいと思わないかもしれない。
スケーターも同じだ。
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テクニカルなトリックで魅せる人
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スピードとパワーで圧倒する人
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シンプルな技を完成度で魅せる人
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ファッションや雰囲気で世界観を作る人
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一緒にいる人を盛り上げる人
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独特の動きやライン取りで印象を残す人
どれが一番優れているという話ではない。
大切なのは、自分がどんなスケーターになりたいのかを理解することだ。
パーツを何でも付ければカッコいい車になるわけではないように、流行っている技や服装を全部取り入れても、カッコいいスケーターになるとは限らない。
自分に合っているか。
全体としてまとまっているか。
一緒にいて楽しいか。
そこに自分らしさがあるか。
そのバランスが重要になる。
せっかく上手いなら、その先まで考えてほしい
少し厳しい言い方に聞こえるかもしれない。
でも、せっかく難しい技ができるのに、ファッションや見せ方、一緒にいるときの雰囲気で評価を落としているスケーターを見ると、本当にもったいないと思う。
服装や髪型だけがスケートボードではない。
見た目だけで技術がなくても成立しない。
盛り上げるだけで、まったく滑らなくても違う。
でもスケートボードは、誰が一番正確に技をこなせるかだけを競うものでもない。
仲間と遊び、笑い、刺激し合い、その日のセッションをみんなで作る。音楽、アート、映像、ファッション、生き方までつながっているカルチャーだ。
だからこそ、
技術、スピード、パワー、ファッション、遊び心、人間性、オーラ、バイブス。
そのすべてを含めて、自分を表現してほしい。
そしてスポンサーから物をもらうようになっても、それだけに頼らず、自分で街へ出て、自分に似合うものを探してほしい。
実際に自分のお金を払い、自分で選び、失敗しながら、カッコよくなる練習をしてほしい。
上手いスケーターはたくさんいる。
でも、ひと目見ただけで記憶に残り、また一緒に滑りたいと思わせ、さらにその人が作るものまで気になってしまうスケーターは多くない。
ただ技ができるだけではなく、
「あいつ、やっぱりカッコいいよね」
「あいつと滑ると楽しいよね」
「あいつが作っているものなら気になるよね」
そう言われるスケーターを目指してほしい。
自分がどんな車になりたいのか。
速さに特化したスポーツカーなのか。
品と存在感のある高級車なのか。
どこでも走破する四駆なのか。
古くても忘れられないクラシックカーなのか。
誰かと同じ車になる必要はない。
自分の特徴を理解して、技も、見た目も、人間性も、未来を作る力も磨いていく。
それが、自分にしか出せない本当のスタイルにつながっていくと思う。



