「やめる強さ」は、子どもが教えてくれた
私は、タバコをやめてからもう15年くらい経つと思います。
今の時代なら確実に炎上する話ですが、
中学1年生から30歳まで、毎日タバコを吸っていました。
周りも吸っていたし、それが当たり前の環境でした。
特に疑問も持たず、ただ習慣として吸い続けていた。
やめた理由はシンプルです。
子どもが生まれたから。
健康のためとか、体に悪いとか、正直そこはあまり気にしていませんでした。
でも「子どもの前でこれは違う」と思った瞬間、スパッとやめられた。
今振り返ると、あの時の自分には
“意志”というより“覚悟”があったんだと思います。
守るものができると、人は変わる。
それを最初に実感したのが、タバコでした。
酒は「楽しいもの」だった
一方で、お酒はずっと自分にとってポジティブな存在でした。
・人と話しやすくなる
・場が盛り上がる
・自分も楽しくなる
もともと人と打ち解けるのが得意なタイプではなかったので、
お酒は“自分を解放してくれるツール”でもありました。
飲めばテンションが上がるし、
周りも笑ってくれるし、
「いい空気を作れている」と思っていた。
そして何より、
記憶が飛ぶくらい飲むのが好きでした。
どこまでいけるか、みたいな。
正直、それが楽しかった。
そのスタイルが好きだったから
そういう“ライブ感のある生き方”が好きでした。
勢いで動く。
ノリで決める。
その瞬間を楽しむ。
良くも悪くも、考える前に動くタイプ。
その延長線上で、
EAZY M!SS(イージーミス)というブランドも始めました。
名前の通り、ちょっとルーズで、
でもそれも含めて楽しむスタンス。
いわゆる“中二病的”なノリもあったと思います。
でもそれが自分だったし、それを否定するつもりもありません。
ただ最近、ふと思うんです。
「俺、もう45歳なんだな」って。
大人になるということ
別に、急に真面目になる必要はないと思っています。
遊びも必要だし、
ノリも大事だし、
人生は楽しんだ方がいい。
でも同時に、
・守るものがある
・背負うものがある
・見られている立場でもある
そういう状況にもなっている。
だからこそ、
“楽しさ”と“責任”のバランスを取れる人間でいたい
そう思うようになりました。
でも、その裏で失っていたもの
楽しいはずだったお酒。
でも現実は、
気づけば周りに迷惑をかけ続けていました。
・気づいたら路上で寝ている
・財布が名古屋でなくなり東京で見つかる
・現金、クレジットカード、上着が消える
・子どものチャイルドシートのカバーまでなくなる
しかも一度じゃない。
カードをなくすのも2回目。
そのたびに、家族や会社、
いろんな人に迷惑をかけてきました。
それでも当時はどこかで
「まあなんとかなるでしょ」と思っていた。
「一杯だけ」ができない人間
ある時こう思いました。
「一杯だけならいいんじゃないか」
実際に缶ビールを一本だけ飲んだこともあります。
でも、やっぱり無理でした。
一杯が、もう一杯。
もう一杯が、さらに一杯。
気づけばいつも通り、
次の日の昼まで飲んでいる。
完全にコントロール不能。
そこで気づきました。
これは意志の問題じゃない。
自分の脳の構造的に“止まらないタイプ”なんだと。
だからこそ、
・飲まないと決めたら一滴も飲まない
・飲むと決めたら覚悟して飲む
この二択しかない。
中途半端が一番危険だとわかりました。
「飲まない」という実験
そこで一度、試してみました。
飲み会に行くけど、酒は飲まない。
最初は正直、不安でした。
でもやってみると、
・普通に会話できる
・普通に楽しい
・むしろ冷静に場が見える
そしてそのとき、決定的な気づきがありました。
カオスな光景と、自分の過去
酒を飲まずに周りを見たとき、
その場が思っていた以上にカオスだったんです。
・声が大きすぎる人
・人の話を遮る人
・空気を読めていない人
その光景を見たとき、
「これ、自分もやってたかもしれない」
そう思った瞬間、
一気に恥ずかしさが込み上げてきました。
同時に、
「今まで迷惑かけてたな…申し訳ないな」
という気持ちが、初めてちゃんと湧いてきました。
スケボー大会のMCでの変化
この前、スケボーの大会でMCをやる機会がありました。
いつもなら酒を飲んで、
テンションを上げて、
勢いで盛り上げるスタイル。
でも今回は、あえて飲まずにやってみた。
結果はどうだったか。
普通に盛り上げられた。むしろ、ちゃんとできた。
冷静だからこそ、
・流れが見える
・タイミングがわかる
・言葉を選べる
今までより“ちゃんと仕事ができた感覚”がありました。
終わったあとに
「打ち上げないんですか?」と聞いたけど、打ち上げもなし。
そのまま普通に帰宅。
これもまた、大きな自信になりました。
「盛り上げている」という勘違い
昔の自分は思っていました。
「自分が場を盛り上げている」
でも今思うと、それは
ただの自己満足だったかもしれない。
本当にいい場って、
誰か一人が暴れることじゃなくて、
みんなが気持ちよくいられること。
そのバランスを壊していた可能性もある。
これからの自分
お酒を完全にやめたわけではありません。
でも今は、
「飲むか飲まないかを選べる状態」
になりました。
自分はコントロールが効かないタイプだからこそ、
ルールを決めて付き合っていく。
それが今のスタンスです。
そしてこれからは、
楽しさも、責任も、両方持てる大人でいたい。
そして少しだけ余談
とはいえ。
旅や一人旅、
そしてこれから始まる
「イトシン オン・ザ・ロード(おじさん放浪記)」
このときは…飲むと思います。
そのときは、
昼まで付き合ってください。
最後に
人は簡単には変われない。
でも、
変わる理由ができたとき、人は一瞬で変われる。
私にとってそれは、
子どもであり、
家族であり、
そして周りの人たちでした。
もし今、何かをやめたいと思っているなら。
「やめる方法」じゃなくて、
「やめる理由」を探してみてください。
それが見つかったとき、
自然と行動は変わります。

